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ヴァイオリン工房Len......Suzuki Ayako    

塗装法① Verniciatura

『ストラディヴァリの秘密』という本をご存じでしょうか?
楽器製作家であれば、「存在を知っている」「読んだことある」・・・という人がほとんであると思います。「ストラディヴァリ・・・・って誰?」って方もきっといらっしゃいますよね?ストラディヴァリは17世紀のイタリア・クレモナで楽器をガンガン作り、ガンガン売っていた超売れっ子の楽器製作家です。
当時から既に評価が高く、現在ではもっと評価が高い・・・。ストラディヴァリ1台で家が購入できるほどの値がついていたりします・・・!今では楽器そのものの評価+骨董品としての価値がついています。
とまあ、ここまで評価が高いのも、ストラディヴァリの木工技術の高さ、ラインの美しさ、ニスの美しさ・・・もちろん音響的にも優れているということで、みな血眼になってその「ストラディヴァリの秘密」を解明しようとしているんですね。
こうやって生まれたのが『ストラディヴァリの秘密』です。著者はサッコー二さん。そこで、私はニスの章を少しずつ訳していこうと思います。現在、英訳、独訳、中国語訳があるみたいですが、みんな微妙に訳の解釈が違うようです。その原因はサッコー二さんの独特なイタリア語・・・みたいです。友人のイタリア人でも「古めかしい言い回しで分かりにくい」とのことでした。
・・・・というわけで、大意で、でもサッコー二さんの意図したことから大きく離れないように、訳していきたいと思います。

ストラディヴァリの秘密 12章 ニス~ ①
 
 ストラディヴァリの楽器を覆うニスは、透明度が高く反射に富むことから特別な美しさを生み出しています。後世においてそのニスを再現することが出来なかった為に、楽器製作家たちや愛好家たちの間で大いに想像をかき立たせてきました。しかしながら音との関係性について解明を試みるも、誰も構造的に再現することはできませんでした。いかさまな錬金術によるようなニスをオリジナルであると信じ込まされたり、終には“知りえること無い秘密”であるなどと神話が生まれるなど、見当違いで可笑しな仮説が現れました。多大な労力が解明の為に捧げられました。

 秘密と言われるのは、ニスの素材を分別できず、ニスの素材を組み合わす能力に欠けていたからです。その秘密のニスとは1500年代前半にクレモナで既に使用されていた『クレモナ・アンティーク・ニス』であり、1700年代後半までにおいては、多くの製作家たちの間で良く知られていました。しかしガルネリ・デル・ジェズ(b 1698 ; d 1744)以降になると、ニスの質は落ち、より濁り、完全に違う構成のものが現われました。またジョバン二・バッティスタ・グァダニーニ(b 1711 ; d 1786)も父親のロレンツォがクレモナ・アンティーク・ニスを使用していた為に、良く知っていたはずにも関わらず、時々使用する程度で他のニスの使用へと変えていきました。そうして新しいニスが突如現れたことでクレモナ・アンティーク・ニスは忘れ去られていったのです。



by celloloto | 2011-02-20 00:52 |   ストラディヴァリの秘密 

ヴァイオリン製作家 Suzuki Ayako 鈴木郁子
by celloloto

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